粗鋼生産量世界一の鉄鋼メーカー、ミッタル・スチールに経営不安説が囁かれ出した。 同社は一九七六年創業と、鉄鋼会社としては“若い”企業。M&A(合併・買収)を重ねて成長し、二〇〇五年四月、米大手ISGの買収で、アルセロール(本社ルクセンブルク)を抜いて世界トップに躍り出た。 現在は十四カ国の鉄鋼十九社を傘下に持ち、本社はオランダにあるが、元来はインド企業。創業者のラクシュミ・ミッタルは「フォーブス」長者番付の最新版では、ビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェットの両氏に次ぐ三位につけている。 そのミッタル・スチールに暗雲を投げかけているのは、中国だ。経済成長を続ける中国が輸入を急増させたことで、ここ数年、鉄鋼や原油をはじめとする工業資源・原料の価格高騰が続いてきた。

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