軍事介入はロシアにとって「得」か「損」か

 クリミア半島のセバストポリではすでにロシア軍がウクライナ海軍の施設を封鎖している (C)EPA=時事
クリミア半島のセバストポリではすでにロシア軍がウクライナ海軍の施設を封鎖している (C)EPA=時事

 ウクライナ情勢が急変を続けている。ロシアの大規模な軍事介入は起きるのか。しばらく膠着状態が続くのか。判断は難しいが、現地3月3日未明までの状況を見る限り、ロシアは介入の準備を整えつつ脅しと挑発を続け、ウクライナ新政権と欧米諸国の出方を見ている段階だ。あわよくば、侵攻なくしてクリミア半島を支配下に置くことも視野に入れているように見える。

 ウクライナで親欧米政権を生むきっかけとなった2004年の「オレンジ革命」を教訓とするプーチン政権は、今回強硬手段に訴える可能性が強い。一方で事態を軟着陸に持ち込む道も、まだ残っていると見る。ウクライナ側が挑発に乗らず、賢明にも国家の統一を保つことができれば、の話であるが。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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