吉田調書を読み解く(上)「貞観地震」への過剰反応

執筆者:塩谷喜雄 2014年10月3日
タグ: 日本 原発
エリア: アジア
 朝日新聞社は遅まきながら記事を取り消し、木村伊量社長が謝罪したが…… (C)時事
朝日新聞社は遅まきながら記事を取り消し、木村伊量社長が謝罪したが…… (C)時事

 9月11日に公開されたいわゆる「吉田調書」には、驚天動地の新事実も、闇を照らす秘密の暴露もない。ここから無理やり特ダネを“捏造”した朝日新聞への大批判は、当然の帰結だろう。調書の作成を主導したのは、政府の「事故調査・検証委員会」の事務局内で最大勢力を占めた検察官たちで、一見すると、冗長で膨大な「羅列」でしかない吉田調書だが、あらかじめ設定された「検察的シナリオ」のにおいが、紙背からそこはかとなく漂ってくる。

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執筆者プロフィール
塩谷喜雄(しおやよしお) 科学ジャーナリスト。1946年生れ。東北大学理学部卒業後、71年日本経済新聞社入社。科学技術部次長などを経て、99年より論説委員。コラム「春秋」「中外時評」などを担当した。2010年9月退社。
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