「原発は危ないからを止めろと言うなら、毎年5000人もの事故死者を出す、自動車の運転差し止めも、同じように要求すべきじゃないの」――。
福島原発事故後に高まった、脱原発や卒原発の議論に対して、原発推進・再稼働を唱える人の中から、こんな指摘が近頃、頻繁に繰り出されている。実はこの自動車と原発の比較論は、福島事故の前から、原子力安全神話の「裏バージョン」として使われてきた、原発PRの常套的手法の1つである。
日本では自動車事故で毎年5000人が亡くなっている。原発に関係する事故の死者として、公式に記録されているのは、核燃料加工施設「JCO」での臨界事故の犠牲者2人だけである。年間5000人の死者と、累積事故死者2人とを比べれば、原発の方が自動車よりはるかに安全ですよと、まずは動かぬ証拠、数字を挙げて「論証」して見せる
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