風雲急「東電首脳解任説」の周辺事情

執筆者:安西巧 2015年3月16日
エリア: アジア

 東京電力首脳の「解任説」が霞が関や永田町で飛び交っている。年明け早々に会長の數土文夫(74)が「病気」を理由に辞任し、後任に社外取締役(LIXILグループ社長)の藤森義明(63)が昇格するとの一部報道があったが、數土本人が記者団の前で即座に否定。立ち消えになったかと思いきや、2月末に汚染水の外洋流出が明らかになると、今度は社長の広瀬直己(62)の「引責辞任」が取り沙汰されるようになった。昨年4月に発足した數土―広瀬体制は収益改善で成果を挙げ、福島第1原子力発電所の事故以来地に落ちていた経営陣の求心力を取り戻しつつあるようにも見えた。だが、3年前の国有化(原子力損害賠償・廃炉等支援機構の約50%出資)で同社の支配権を握った政府は、この數土―広瀬コンビがどうも気に入らないらしい。

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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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