「午後三時より前のアポイントは、歓迎されませんよ」――上海市政府の幹部が、中国出張の際の面会を求めた「古い友人」の外資企業トップをやんわり諭した。株式市場が閉まる午後三時までは、「株価が気になって、落ち着いて話せない」からだ。役所では「周囲の九割が株取引に熱中しています」と、この幹部は語ったという。中国における証券取引の口座開設数は一億を超えた。 勤務中の株式取引に従業員がいそしむのは企業も同じ。知恵をしぼった企業は、福利厚生の一環として社員の株式取引を一任勘定で代行し、勤務中は業務に専念させる仕組みを編み出した。国有大型企業などでは、全取引をプロに委託、企業が資金も援助し「儲かれば利益折半、損すれば一定割合を補填する」システムが広がっているというが、プロの中には怪しげな人物も混じる。

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