なぜG8サミットが重要なのか

執筆者:田中明彦 2008年7月号
タグ: フランス 日本
エリア: アジア

 七月には洞爺湖サミットが開催される。福田政権にとってみれば、サミット議長国として世界の環境問題や食糧問題の解決のためどのようにリーダーシップをふるうかが、最大の外交課題である。このように言われている。 しかし、ひるがえって考えてみるに、そもそもG8サミットとは何なのか。言うまでもなく、主要八カ国の首脳が年に一回一堂に会する会合である。一九七五年にフランスのランブイエで第一回が開催されて以来、毎年開催される会合であって、世界でも最も重要な会合の一つと見なされている。しかし、サミットは、国際連合の安全保障理事会や世界銀行などのような国際的な制度とはだいぶ異なる性格の制度である。サミットには、国連の場合の国連憲章のような、設立条約にあたる創設文書はないし、サミットの事務を担当する事務局もない。サミットは、形式的に見れば、あくまでも首脳間の非公式な会合の一つにすぎない。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
田中明彦(たなかあきひこ) 1954年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。東京大学東洋文化研究所教授、東京大学副学長、国際協力機構(JICA)理事長、政策研究大学院大学学長、三極委員会アジア太平洋地域議長などを経て、2022年4月より再び国際協力機構(JICA)理事長に就任。著書に『新しい「中世」―21世紀の世界システム』(サントリー学芸賞受賞)、『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交』(読売・吉野作造賞)、『アジアのなかの日本』、『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』など。
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