関連法案は廃案寸前「改革」の遠い夜明け

執筆者:白石均 2009年7月号
タグ: 日本
エリア: アジア

麻生政権が迷走する中、公務員制度改革は店ざらしのまま。政策金融機関の完全民営化も白紙に戻された。起死回生の手はあるのか。 麻生内閣の迷走が止まらない。五月半ば、突如として巻き起こった「厚生労働省分割」騒動は、わずか二週間で、麻生総理の「こだわっていない」宣言により幕を閉じた。「官邸の根回し不足」が槍玉にあげられたが、問題は、根回し以前に何をやりたかったかだ。厚生労働大臣の業務が膨大で処理しきれないというなら、省の分割などと迂遠なことをせず、直ちに特命担当大臣をおけばよい。「年金担当大臣」か「雇用担当大臣」をおいて業務を分担させるなら、翌日にもできたはずだ。あるいは、中央省庁再編から十年近く経ち、そろそろ再検証すべきという話なら、厚労省だけでなく全体を見直さなければおかしい。さらに、中川秀直・自民党元幹事長らが主張する、「省庁ごとの設置法を廃止して、政権の判断で機動的に組織編成できるように」といった次世代型の制度設計も大いに議論すべきだろう。今回の騒動はそのいずれでもない。「何を目的に何をやるのか」という基本的な思考回路すら具えていない総理大臣、という恐るべき現実が改めて浮き彫りになった。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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