ハングルでは実力者を「実勢」(シルセ)というが、北朝鮮の「実勢中の実勢」の軍人が李勇哲だ。 公式行事で主席壇などに並ぶことはあまりない「陰の人物」だが、金永春総参謀長や金鎰チョル人民武力相より上の権限を持つとの見方もある。 その実力のほどは現在の職責からも推し量ることができる。労働党の軍事問題を統括する党中央軍事委員の一人でもあり、党の人事を管轄する党組織指導部の五人の第一副部長の一人(軍事部門担当)でもある。つまり「軍」と「党」の要職を兼務する実力者なのである。李第一副部長が北朝鮮の公式報道に登場するケースはほとんど金正日総書記の現地指導への同行に関するものであることが示すように、金総書記の厚い信頼を受ける側近でもある。
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