「クローン技術規制法」はできたが、生殖医療に対する監視は不十分。クローンに遠いようで近い国、日本の現状をレポートする。 イギリスでクローン羊ドリーが生まれてから五年がたつ。一つの細胞から同じ遺伝子を持った個体をつくるクローン技術が人間に応用され、世界のどこかでクローン人間がつくられる可能性は、時間の経過とともに少しずつ、しかし確実に高まっている。 クローン人間と聞いて、日本と結び付けて考える人はほとんどいないかもしれない。だが実は、日本がクローン人間づくりと無縁でいられるのかどうかを、密かに不安に思っている関係者は少なくない。あまり注目されていないことだが、日本には動物のクローンを作成する高水準の技術が広く普及しているうえ、クローン人間誕生の「現場」となる可能性のある、生殖医療に対する規制が緩いからだ。

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