民営化から一年も経たず、イギリスの旧国営郵便コンシグニアの経営難が露呈した。高コストという“負の遺産”を抱え、世界進出の念願虚しく、かつての独占事業体は立ち腐れて行くのか。[ロンドン発]英国の郵便自由化が躓いた。二〇〇一年三月に株式会社化した旧英国郵便のコンシグニアは、四―九月期決算で二億八千万ポンド(約五百億円)の最終赤字を計上、黒字化のめどは立っていない。 国営セクターに効率性を導入する仕組みを探す――。日本の行政改革論議にも大きな影響を与えてきた英国の自由化・規制緩和の歴史は長い。その代表的政策として挙げられる一九八〇年代のサッチャリズムもさることながら、郵便事業について言えば郵便電気通信省から郵便・郵便振替・通信の三事業分野が公社として分離されたのは一九六九年にまでさかのぼる。
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