[モスクワ発]ロシアの首都モスクワで死者三十九人、負傷者百三十四人を出した二月六日の地下鉄爆破テロがプーチン政権に深い衝撃を与えている。プーチン大統領は事件直後、「テロとチェチェン武装勢力を結び付けるいかなる間接的な証拠もいらない」と述べ、チェチェン共和国の独立派指導者、マスハドフ元共和国大統領とその一派の犯行と断定したが、その口調にはかつてない強い苛立ちがにじんでいた。 プーチン大統領は「マスハドフ一派と交渉すべきだとのアピールが外国からあったが、テロリストとのいかなる対話も拒否する。そうした接触が大型犯罪を鼓舞することになる」と強調。「テロは二十一世紀の疫病であり、撲滅されねばならない」とも語り、反テロ国際協調の強化を訴えたが、プーチン政権の金看板である対チェチェン強硬路線は実のところ大きな曲がり角に差し掛かっている。

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