グルジア、ウクライナに続き、モルドバでも親欧米政権が選挙で勝利した。ソ連邦の復活を目指すプーチン大統領が温める策略とは――。[ティラスポリ発]旧ソ連圏で今はなき「ソビエト連邦」の面影を最も色濃く残す地域は、モルドバ東部のドニエストル川東岸だろう。 十八世紀からロシア人入植地だったドニエストル地方は、一九九〇年、モルドバの民族主義政策に反発し「沿ドニエストル共和国」の設立を宣言。九二年春、ドニエストル駐留ロシア軍とともにモルドバ軍と「独立戦争」を戦い、双方で千人近い死者を出した。停戦後の政治交渉は不調に終わり、モルドバ側との厳しい冷戦が続いている。共和国はロシアを後ろ盾にし、十五年間事実上の独立を維持。現在も千六百人のロシア軍が「平和維持」の名目で駐留する。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン