箱詰めの鮫でも“死体”でも、チャールズ・サーチが買えばアートとして認知される。その絶大な影響力はいかにして築かれたか。[ロンドン発]テームズ川のほとり、有名なビッグベンの対岸に、人気観光スポット「ロンドンアイ(観覧車)」がそびえ立つ。そしてその隣には、現代美術界に多大な影響を及ぼす、あるアートギャラリーがある。 だが、初めて訪れる人は、まず入り口を探すのに苦労するだろう。なにせ、それとおぼしき石の門の横に貼り出してあるのは中華料理屋のメニュー。どう見てもレストランの門にしか見えないからだ。 しかし、これこそが現代美術の「スーパーコレクター」チャールズ・サーチ氏(六二)が自らのコレクションを展示する「サーチ・ギャラリー」である。天井の高い旧ロンドン市庁舎の建物を借り、中にはゆったりと奇抜な現代美術の数々が並んでいる。古く由緒ある建物と現代美術の見事な融合だ。

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