WFP輸送責任者が語る「食糧援助は地の果てまで」

執筆者:草生亜紀子 2007年3月号

「WFP(世界食糧計画)史上最大の物流作戦」の始まりを告げる電話が本部からかかってきたのは、二〇〇二年の大晦日。アメリカがイラク空爆を始める三カ月前のことだ。国連の専門機関WFPは、食糧不足が発生しそうな緊急事態に備え、世界中の政治情勢から気象、農作物の作柄まで常に監視している。 WFP輸送・調達部次長のアメール・ダウディー氏は中東事務所のあるカイロに拠点を移し、戦争開始に伴って必要となりそうな食糧をはじめとする援助物資の輸送計画を作り始めた。WFPは自らの組織業務を行なうだけでなく、国連児童基金(UNICEF)や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)など他の組織に輸送手段がない時、代わって輸送を受け持つ後方支援活動の中核組織である。

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執筆者プロフィール
草生亜紀子(くさおいあきこ) 翻訳・文筆業。NGO職員。産経新聞、The Japan Times記者を経て、新潮社入社。『フォーサイト』『考える人』編集部などを経て、現職。
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