「爆弾テロ」に揺れるタイの「新憲法」事情

執筆者:樋泉克夫 2015年8月18日
エリア: アジア

 8月17日午後7時、参詣客の絶えないエラワン廟に仕掛けられた爆弾が爆発し、現地メディアが18日早朝までに伝えるところでは、22人が死亡(中国、台湾からの観光客を含む)、123人(日本人男性1人を含む)がケガをしたとのことだ。

 同廟はバンコクの中心街の交差点角に位置し、外国人向けの観光名所として知られるだけでなく、幹線道路を挟んだ向かい側にはタイ国家警察があり、また交差点を挟んだ斜め向かいの日系デパート前の広場は政治的街頭行動の中心地でもある。2006年以来、タクシン支持派対タクシン反対派の対立が続くタイだが、両派とも運動最盛期には附近一帯の道路を封鎖し、首都機能をマヒさせ、自らの政治的主張を強硬にアピールしたものだ。また同廟に隣接するエラワン・ホテルは、一時はタクシン支持派の前線本部となった経緯もあるだけに、政治的には象徴的な意味合いを持つ場所でもあるのだ。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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