クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

消えたタテカン

執筆者:徳岡孝夫 2015年10月14日
エリア: アジア

 よく知る月刊誌編集者が、早稲田の先生への原稿依頼だろうか、久しぶりに早稲田大学へ行ってきたと言う。私はすかさず問うた。
「タテカンやなんかで凄かったでしょう。時が時ですからね」
 ところが、彼の返事は私の意表を衝いた。
「それが、なかった。キャンパスを見回しても、ほとんどタテカンがない。アジ演説してるヤツもいない。キレイなもんでした。今回の安保法制反対運動に、学生たちは欠席しました。なぜでしょう。不思議ですね」
 あの立て看板が、早稲田の構内になくてどこにあるのか。信じられないことだった。

カテゴリ: 政治 社会 軍事・防衛
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
徳岡孝夫(とくおかたかお) 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top