「米中首脳会談」日本のメリット

にこやかに握手を交わす習近平国家主席(左)とトランプ大統領だったが (c)AFP=時事

 トランプ-習近平の初顔合わせとなる米中首脳会談をどう見ればいいのか? 今回の会談は、基本的には初顔合わせで両者の良好な関係を作ることが目的であり、それ以上の期待は、中国側にはなかったはずだ。日本から見てもそうだが、トランプという想定不可能の大統領は、敵に回すと厄介な存在になることは中国側もよく理解していた。

 かたやトランプ政権側も、最初の会談で大きな成果を得ることは望んでいなかったはずだ。トランプ政権は国務省の中の政治任用が進まず、外交政策を具体的に立てられるような状況にはない。たとえば、ホワイトハウスの匿名高官の事前ブリーフィングのテキストを読んでも、トランプ大統領が選挙中から中国に対して厳しく求めていた為替問題や貿易不均衡などの問題で、米国側が圧力をかけて譲歩を引き出そうというようなふしはなかった。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
渡部恒雄(わたなべつねお) わたなべ・つねお 笹川平和財団上席研究員。1963年生まれ。東北大学歯学部卒業後、歯科医師を経て米ニュースクール大学で政治学修士課程修了。1996年より米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員、2003年3月より同上級研究員として、日本の政治と政策、日米関係、アジアの安全保障の研究に携わる。2005年に帰国し、三井物産戦略研究所を経て2009年4月より東京財団政策研究ディレクター兼上席研究員。2016年10月に笹川平和財団に転じ、2017年10月より現職。著書に『大国の暴走』(共著)、『「今のアメリカ」がわかる本』、『2021年以後の世界秩序 ー国際情勢を読む20のアングルー』など。最新刊に『防衛外交とは何か: 平時における軍事力の役割』(共著)がある。
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