黄金期の宰相・メルケルとドイツ「東方政策」が遺す資産と負債

執筆者:国末憲人 2021年9月25日
エリア: ヨーロッパ
CSU/CSUの選挙集会に臨んだメルケル首相(C)AFP=時事
ドイツのメルケル首相がまもなく退任する。16年にわたる長期政権を築いた宰相は、何に成功し、どこで失敗したのか。朝日新聞の国末憲人欧州総局長がレポートする。

 

 現在のドイツの安定ぶりを目にすると、この国がかつて「欧州の病人」と呼ばれた頃を想像するのは難しい。

 1989年に「ベルリンの壁」が崩壊して以降32年間のうち、前半のドイツは、経常赤字や高失業率に苦しみ続けた。90年の東西ドイツ統一で生じた旧東独地域への支援が大きな負担となったうえ、労働コストの高騰なども重なったからである。それだけに、後半の回復ぶりは目覚ましい。経常黒字は世界トップレベル、失業率も欧州連合(EU)内では最低レベルとなり、EU内での「一人勝ち」状態となった。

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
国末憲人 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長を経て、現在は朝日新聞ヨーロッパ総局長。著書に『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)など多数。新著に『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)がある。
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