「ウクライナの中立化」とは何か――NATO加盟断念と「安全の保証」が不可分な理由

執筆者:鶴岡路人 2022年4月26日
エリア: 北米 ヨーロッパ
2月28日、EU加盟申請書に署名したゼレンスキー大統領(中央)。これがウクライナの将来への布石か (C)AFP=時事
「中立化」の例としてロシアが示した「オーストリアやスウェーデン」は維持され得る条件とは考えにくい。一方、「安全の保証」に関してウクライナが求める「実効性の確保」は、安全保障条約や同盟に近づいてしまうジレンマがある。この課題をめぐる交渉は、米国をはじめとする諸国のコミットを要求しながら、まだ見えぬ停戦合意の先さらに続く困難なものになるだろう。

 ロシアによるウクライナ侵略に関して問われてきた主要な問題の一つが、ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟問題である。ロシアがこれに強く反対し、ウクライナ侵略にあたっても、ウクライナの中立化を掲げている。それに対して、ウクライナは NATO加盟を目指してきたが、ロシアによる侵略が実際におこなわれるなかで、それを断念するに至っている。この展開に対しては、「それだったら戦争は回避できたはずだ」、「そんな簡単な話なのに妥協できなかったのか」という批判も聞かれる。しかし、ことはそれほど単純ではない。

この記事だけをYahoo!ニュースで読む>>
カテゴリ: 軍事・防衛 政治
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
鶴岡路人 慶應義塾大学総合政策学部准教授。1975年東京生まれ。専門は現代欧州政治、国際安全保障など。慶應義塾大学法学部卒業後、同大学院法学研究科、米ジョージタウン大学を経て、英ロンドン大学キングス・カレッジで博士号取得(PhD in War Studies)。在ベルギー日本大使館専門調査員(NATO担当)、米ジャーマン・マーシャル基金(GMF)研究員、防衛省防衛研究所主任研究官、防衛省防衛政策局国際政策課部員、英王立防衛・安全保障研究所(RUSI)訪問研究員などを歴任。東京財団政策研究所主任研究員を兼務。著書に『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書、2020年)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top