ウクライナ「無関心」からの脱却――韓国新政権の「世界地図」にユーラシアは入るのか

執筆者:浅羽祐樹 2022年4月30日
4月11日、韓国国会でゼレンスキー大統領のオンライン演説が行われたが、議員の関心は低かったようだ (C)AFP=時事
ウクライナ情勢への関心の低さが目立った韓国。5月に発足する尹錫悦新政権に必要なのは、ユーラシアの東の“現状変更勢力”北朝鮮に対する日米韓「安保トライアングル」の構築だ。

「歴史的類推」演説でも関心は「物価高」

 朝鮮半島はユーラシア大陸の東端に位置しているのに、その西側で起きている世界史的な変動の意味を韓国は捉え損ねているのではないか。この5年間、文在寅(ムン・ジェイン)政権の「世界地図」は「朝鮮半島の非核化」、いや「北朝鮮との関係改善」だけに限定されてしまった感がある。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は4月11日に韓国国会でオンライン演説を行った。各国ごとにカスタマイズされた演説は、24番目の韓国では、「歴史的類推(historical analogy)」を駆使するものだった。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
浅羽祐樹(あさばゆうき) 同志社大学グローバル地域文化学部教授。北韓大学院大学校(韓国)招聘教授。立命館大学衣笠総合研究機構客員協力研究員。専門は比較政治学・国際関係論・司法政治論。1976年大阪府生まれ。立命館大学国際関係学部卒業。ソウル大学校社会科学大学政治学科博士課程修了。Ph.D(政治学)。九州大学韓国研究センター講師(研究機関研究員)、山口県立大学国際文化学部准教授、新潟県立大学国際地域学部教授などを経て、2019年4月より現職。著書に『戦後日韓関係史』(有斐閣、2017年、共著)、『知りたくなる韓国』(有斐閣、2019年、共著)、『統治のデザイン』(弘文堂、2020年、共著)、Japanese Public Sentiment on South Korea: Popular Opinion and International Relations(Routledge、2021年、共著)など。
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