ムサビ元首相の登場で、六月に行なわれる大統領選の行方は混沌。もし「強力な中道派」が生まれれば、国際情勢にも大きな影響が――。[テヘラン発]「イランで、三日後に何が起きているかは、誰にも見通せない」。テヘランに赴任して半年余りの筆者に、親しいイラン人ベテランジャーナリストは、そんな身も蓋もない忠告をよくしてくれる。確かに、ちょうど三十年前の一九七九年に起きたイスラム革命以来、イラン情勢はサプライズの連続だ。過去数回の大統領選挙の結果を見ても、一九九七年の改革派モハンマド・ハタミ師(六五)、二〇〇五年の保守強硬派マフムード・アフマディネジャード氏(五二)の当選と、国内外の多くのイラン・ウォッチャーの予想を見事に覆してきた。

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