
[ワシントン発/ロイター]10月23日に学術誌『Geochemical Perspectives Letters』に掲載された論文では、ジルコン結晶の分析によると、月は定説よりも4000万年古く、約4.46億年前に形成さたと発表された。太陽系の誕生から約1億1000万年以内に形成されたことになる。
月の形成に関する有力な仮説では、太陽系の混沌とした黎明期に、テイアと呼ばれる火星サイズの天体が原始の地球に衝突したことが月の始まりだとされている。これにより宇宙空間へマグマ(溶融岩)が飛び散り、地球の周りに石くずからなる円盤が形成され、やがて凝結して月になった。しかし、月の形成の正確なタイミングを推定することは困難だった。
マグマが冷却して固化した後、鉱物の結晶が形成された。研究チームはアトムプローブトモグラフィという手法を使い、Schmitt氏が収集したノライトの岩石の破片に含まれていたジルコン結晶、つまり、巨大衝突の後に形成された最も古い固体の年齢を確認した。

シカゴのフィールド博物館研究総括とシカゴ大学教授で、論文共著者の宇宙化学者Philipp Heck氏は、「51年前に収集され地球に持ち帰られたサンプルを対象に研究が行われたことは素晴らしい。当時、アトムプローブトモグラフィはまだ手法として確立されておらず、こうした現代の分析手法について過去の科学者は想像もつかなかっただろう」と述べた。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校の惑星科学者で論文共著者のBidong Zhang氏は、「興味深いことに、地球、火星、そして月で見つかる最も古い鉱物はすべてジルコン結晶だ。永遠なのはダイヤモンドではなく、ジルコンだ」と述べた。……

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