ジョー・バイデンの戦いすんで日が暮れて

Foresight World Watcher's 5+αTips

「世界で最も大変な仕事を4年間続けるにはあまりにも体力が衰えている」と英エコノミスト誌[大統領討論会を終えてジル・バイデン大統領夫人と会場を後にするバイデン氏=2024年6月27日、米国・ジョージア州アトランタのCNNスタジオ](C)AFP=時事

 ゴルフのティーショットでどちらが遠くへ飛ばせるか、むきになって言い争う81歳と78歳。さすがにどうなんだという気もしますが、27日の「バイデン vs トランプ」公開テレビ討論会は明らかにバイデン氏の惨敗でした。これを受けて民主党大統領候補の交代論が一気に噴出した米国メディアの報道には、ある種の狼狽ぶりすら感じます。国際的な影響力低下が指摘されつつ、米国が依然として最大パワーであることは変わりません。米国のリーダーシップに対する不安は、同国内のみならず他国メディアにも共有されるところとなりました。

 ただ、討論会後も両者の支持率は依然として拮抗しているとも伝えられます。つまり、アンチ・トランプは何があろうとアンチ・トランプ。米国の分断はかくまで深いことも浮彫りになります。代えるべきか、代えざるべきか。そもそも代えることなど可能なのか。フォーサイト編集部が週末に熟読したい海外メディア記事5本+α、皆様もよろしければご一緒に。

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 テレビにはまだ世界を変える力がある――そんなことを思わせたのは、ジョー・バイデンとドナルド・トランプの公開討論会だ。米CNNによる90分間の生中継が続いている間からバイデンの討論会での苦戦が騒がれ始め、放送終了後には大統領選での勝利の見込みが早くも潰えたかのような見方が広まった。

 1960年のリチャード・ニクソン対ジョン・F・ケネディの初回討論会は、テレビが生で伝える候補者の“見た目”の力が大統領選の結果(および、世界のありよう)を左右した最初の例とされる。一方、2024年のバイデン対トランプの初回中継はその最大の例になるかもしれない。

 反トランプの気色を鮮明にしているリベラル系メディアの代表格である米「ニューヨーク・タイムズ」紙や同「ワシントン・ポスト」紙でさえ、サイトで厳しい大見出しを掲げている。

「討論でのパフォーマンスぎこちなく 民主党の安心に腐心するバイデン(After Halting Debate Performance, Biden Tries to Reassure Democrats at Rally)」【NYタイムズ/6月28日付】

「バイデンは討論での痛いパフォーマンスから立ち直れるのか?(Can Biden recover from his damaging debate performance?)」【Wポスト/6月28日付】

 トランプ復活となると対ロシア、対中国、対アラブでの風向きが大きく変わりかねないウクライナや台湾、イスラエルの主要紙も同様だ。

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カテゴリ: 政治
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