[ロイター]ハリス氏は気候変動対策に不可欠な再生可能エネルギーを推進しながらの実現を目指すことに対し、トランプ氏は石油や天然ガスの掘削や石炭採掘を妨げる環境規制を撤廃する考えを示している。両者の対極的なアプローチは、環境分野に関する近年の米国の政治的論争を象徴している。有権者は大統領選挙の投票日に、あらためて選択を迫れられることになる。
米国のエネルギー政策は、世界の気候変動対策の取り組みにも大きな影響を与える。世界中の研究者が、現状の取り組みでは温暖化のスピードと規模に対応しきれないと指摘しており、歴史的に見て最大の炭素排出国である米国が努力を放棄すれば、さらなる打撃を与えると警告している。
以下はハリス氏とトランプ氏が提案する、エネルギーおよび気候変動に関する政策の詳細だ。
エネルギーで優勢な米国は誰のおかげ?
米国は、テキサス州とニューメキシコ州のパーミアン盆地などで生産が拡大したことにより、近年では世界最大の石油・ガス生産国となった。これはバイデン政権のもとで実現した。同時にジョー・バイデン大統領は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーに対して米国史上最大級の補助金の投入、温室効果ガスの抑制に向けた規制など、米国で最も野心的な気候変動政策を進めてきた。
トランプ陣営は、トランプ氏が在任中に規制緩和を進めたことで、生産拡大への道が拓かれたとしている。また、トランプ氏が再選されれば、バイデン大統領が打ち出した気候変動政策を撤回することで、化石燃料における米国のリードをさらに確固なものにできると主張している。
これに対してハリス氏は、エネルギー転換を進めている米国にとって、石油とガスの生産量が多いことは、エネルギー価格の抑制に役立つと述べている。また2020年の大統領選時にハリス氏はフラッキング禁止を支持していたが、現在はスタンスを一転し、米国で化石燃料の生産拡大につながったフラッキングを容認している。
トランプ氏はインフレ抑制法の修正を主張
トランプ氏は、バイデン政権の主要な気候変動政策であるインフレ抑制法について、未消化の予算をすべて取り消すと述べている。
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