通産省の昨年の定期人事異動は、事前の予想を完全に覆すものだった。事務次官昇格が確実視されていた当時の江崎格産業政策局長(昭和四十年入省)が退官し、広瀬勝貞機械情報産業局長(四十一年)が新次官に就任。また官房長には、誰も予想していなかった佐野忠克貿易局長(四十四年)が起用された。
この人事を断行したのが当時の渡辺修事務次官(三十九年)と村田成二官房長(現産業政策局長、四十三年)で、ギリギリのところで江崎氏を外し広瀬氏の昇格を決めたのが渡辺氏、佐野氏の官房長起用を強く求めたのが村田氏だったとされる。

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