【キーパーソン】槙原稔(三菱商事会長) ミスター三菱の真髄――岩崎家の遺伝子と華麗な海外人脈

執筆者:安西巧 2001年8月号
タグ: 日本

 昨今の槙原稔ほど、その言動に興味を掻き立てられる日本人経営者はいない。三菱商事会長であるとともに、「金曜会」(三菱系企業の社長会)の世話人代表として三菱グループ総帥といえる立場にあり、瓦解寸前の旧財閥の行く末を一身に託されている。 昨年、三菱自動車工業が度重なる不祥事と業績不振で破綻の危機に瀕した際、槙原は「三菱は国籍など問わない」と言い、ダイムラークライスラーによる救済劇のお膳立てをした。三菱グループ内から当然のように湧き起こった「スリーダイヤブランドを外資に売り渡す気か」という批判を、「純血よりも、大切なのは理念」と撥ねつけ、そのスタンスは少しも揺るがなかった。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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