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〜国際情勢の重要人物を徹底解説!〜
中国

何衛東
か・えいとう、ホー・ウェイドン

中央軍事委員会副主席(上将)

1957年5月、江蘇省東台市

陸軍指揮学院卒業(1981年)、国防科学技術大学(2001年)

1972年12月、福建省南平市の中学を卒業して15歳で人民解放軍に入隊。以降、偵察兵として福建省での作戦現場を経験し、同省アモイを本拠とする旧南京軍区第31集団軍(現・東部戦区第73集団軍)で参謀長や副軍長を務めた。第31集団軍は台湾海峡を統括しており、台湾上陸を想定した作戦計画に携わってきた。

第31集団軍など福建省での勤務を通じて、1985年から2002年まで福建省で勤めた習近平と接点ができた。台湾への武力統一も視野に入れる習近平は、第31集団軍勤務経験者を重視しており、何衛東はその後、南京軍区副参謀長、江蘇省軍区司令員(2013年)、上海警備区司令員(2014年)、西部戦区副司令員兼陸軍司令員(2016年)を経て、2019年に台湾作戦を指揮する東部戦区司令員に就任した。

2022年3月、東部戦区司令員を外れたことが判明した。同年9月に北京で開催された「国防・軍隊改革研討会」で「中央軍事委員会聯合作戦指揮センター」の腕章を付けた軍服姿の何衛東の姿が、国営中央テレビに映され、聯合作戦指揮センターの総指揮を務める習近平の「右腕」になっていることが確認された。同年8月にナンシー・ペロシ米下院議長(当時)が台湾を訪問し、人民解放軍が台湾周辺で実施した大規模な軍事演習も統括したとみられる。

2022年10月の党大会で初めて中央委員と中央軍事委員に名を連ね、それにとどまらず、中央政治局委員のほか、張又侠とともに制服組トップとなる中央軍事委員会副主席にも就いた。

党大会前までは、同じ第31集団軍出身で、習近平と30年以上の付き合いとされ、2017年から中央軍事委員(政治工作部主任)を務めていた苗華(1955年11月生)が、同副主席に就くとの観測が強かったが、何衛東が逆転した。対台湾作戦のキーパーソンである。

(執筆・監修:城山英巳

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