国際論壇レビュー
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世界があきれる日本の「民主主義メルトダウン」

会田弘継
執筆者:会田弘継 2011年6月16日
カテゴリ: 国際 政治
エリア: 日本

 世界中があきれて、ものも言えない。論評にも値しないと思っている。日本の「政局」だ。でも、世界のまっとうな知識人に信頼されている英誌「エコノミスト」だからだろう。ずばり巻頭解説と特集記事で、日本のメディア以上に日本人の思いをぶちまけた。「政権交代などやっている場合じゃない……市民を馬鹿にするのもほどほどにしろ(an insult to the public’s intelligence)」。【A grand stitch-up or an election?, The Economist, June 11-17】
 大連立などやったら、旧勢力が復活して権力の甘い汁を吸いに戻るだけ。巨大企業や中央官庁を含めた旧勢力こそが、その癒着体質で、傲慢な原子力産業の監視を怠り、フクシマ原発の悲劇を生んだのではないか。こんな時に、総選挙などとんでもない。でも、やるのならやれ。電力業界再編と地方分権をテーマに国民の判断を仰ごう。東電や中央政府に市民はほとほと愛想をつかしているから、大改革への第一歩になるかもしれない。

「地域社会の奥深さ」と「国会議員の底の浅さ」

「三流の政治」に世界があきれている(菅首相=左=と次期首相候補とされる野田財務大臣)(c)AFP=時事
「三流の政治」に世界があきれている(菅首相=左=と次期首相候補とされる野田財務大臣)(c)AFP=時事

 巻頭解説に続く特集記事「日本の復興」でも、同誌は言う。今回の大震災と大津波を通じて「日本の地方のリーダーたちの質の高さ、責任感の強さ」がよく分かった。日本の地域社会の奥深さは、くだらぬ争いばかり続ける国会議員どもの底の浅さと雲泥の差だ。襲い来る津波の中、放送で町民に退避を呼び掛け続けて亡くなった遠藤未希さんや、被災以来休むことなく働く自治体首長らを紹介し、いまこそ日本は中央集権のくびきから抜け出せ、と訴える。「その際、中央政府はフクシマに移すのがいい、という皮肉な声もある。でも、フクシマにこれ以上の苦しみを与えるのはよくないかもしれない」。 【Who needs leaders?, The Economist】  英紙「フィナンシャル・タイムズ」も社説で言う。日本の民主党が政権に就いて以来、「内紛・抗争は果てしなく続く……自民党時代と同じ派閥争いに陥ってしまった」。大震災に対する「市民の無私で我慢強い対応は感動的なのに、金ピカのポストをめぐって果てしない小競り合いを続ける国会の政治家どもは、そんな精神のかけらも持ち合わせない」。 【The indecision of Naoto Kan, The Financial Times, June 2】高貴な市民に三流の政治。本欄で繰り返し述べた。世界中に定着した日本イメージだ。

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執筆者プロフィール
会田弘継
会田弘継 青山学院大学地球社会共生学部教授、共同通信客員論説委員。1951年生れ。東京外国語大学英米科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを歴任。2015年4月より現職。著書に本誌連載をまとめた『追跡・アメリカの思想家たち』(新潮選書)、『戦争を始めるのは誰か』(講談社現代新書)、訳書にフランシス・フクヤマ『アメリカの終わり』(講談社)などがある。
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