アラブの春と「モスクワの冬」

名越健郎
執筆者:名越健郎 2011年12月17日
カテゴリ: 政治 国際
エリア: ロシア 中東

 12月4日のロシア下院選での政権側の不正に対する抗議デモは、予想をはるかに上回る規模で全国に広がり、ロシアの政治状況が地殻変動を起こしつつあることをうかがわせた。

 11日にクレムリン南方のボロトナヤ広場で行われた抗議集会は、公式発表では2万5000人が参加とされたが、映像で見ると5万人近くが参加しているように思えた。モスクワでの民主派による大規模集会は、おそらく20年ぶりだろう。

 フェースブックなどソーシャルメディアを媒介に集結した若者らは、選挙やり直しのスローガンとともに、「プーチンは泥棒だ」「ロシアはプーチンから自由に」などとシュプレヒコールをあげた。「クマよ、去れ!」と、メドベージェフ大統領の名前の由来(メドベージはクマの意味)に引っ掛けて大統領の辞任を求める声もあった。

 1991年のソ連邦崩壊前、民主派デモは頻繁に行われ、10万人規模もあったが、大抵は春から秋にかけてだった。今回は零下10度のマロース(寒波)の中の大集会。「アラブの春」ならぬ「モスクワの冬」といわれるゆえんだ。次回は今月24日だが、来年3月4日の大統領選を控えるだけに、さらに盛り上がる可能性がある。

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執筆者プロフィール
名越健郎
名越健郎 1953年岡山県生れ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長を歴任。2011年、同社退社。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学東アジア調査研究センター特任教授。著書に『クレムリン秘密文書は語る―闇の日ソ関係史』(中公新書)、『独裁者たちへ!!―ひと口レジスタンス459』(講談社)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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