ウクライナ「国家分裂」の可能性と「クリミア」の行方

名越健郎
執筆者:名越健郎 2014年2月24日
エリア: ヨーロッパ ロシア

 親西欧派デモ隊が大統領府など国家中枢を占拠したウクライナ情勢は、二重権力状態となり、内戦の危機に直面しかねない。今後、事態が収拾不能になった場合、ウクライナが親西欧の西部と親ロシアの東部に分裂する可能性も浮上するかもしれない。欧米では、冷戦後のチェコスロバキア型の協議離婚の論議も出始めた。一方で、ロシアは固有の領土であるウクライナ領クリミア半島を奪還する動きもちらつかせている。欧州は旧ユーゴスラビア紛争に続く重大な試練に見舞われつつある。

 

ビロード離婚?

 ロシア史専門家のオーランド・フィゲス・ロンドン大学教授はフォーリン・アフェアーズ誌電子版(2013年12月16日号)で、「ウクライナの分裂の根深さやロシアとEU(欧州連合)の意思が相容れないことを考えた場合、ウクライナは東欧で行われた先例を適用することを考えてはどうか。1993年のチェコスロバキアの分裂は、いわゆるビロード離婚と言われ、市民の判断が合法化された比較的明るい分裂だった」と述べ、国家分離の是非を問う国民投票を通じた決着を訴えた。教授は、「国民投票方式は面倒なプロセスだが、ウクライナの永遠の分断には好ましく、実際に分裂の可能性が一段と増している」と指摘した。

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執筆者プロフィール
名越健郎
名越健郎 1953年岡山県生れ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長を歴任。2011年、同社退社。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学東アジア調査研究センター特任教授。著書に『クレムリン秘密文書は語る―闇の日ソ関係史』(中公新書)、『独裁者たちへ!!―ひと口レジスタンス459』(講談社)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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