雇用でも投資でもないCEPAの“ご利益”とは

執筆者:八ツ井琢磨 2007年8月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 中国・台湾

 香港返還十周年を二日後に控えた六月二十九日、中国中央、香港の両政府は、経済貿易緊密化協定(CEPA)を拡充することで合意した。今回は、香港企業に中国本土の介護、清掃サービスへの参入を認めるなど、「過去最大級」(中国商務省)の規制緩和措置が盛り込まれ、返還祝賀ムードに花を添えた。 CEPAは商品、サービス貿易の自由化を柱とする両者間の「自由貿易協定」。二〇〇三年六月の本協定締結後、拡充協定が年一回結ばれている。調印当日、香港の唐英年財政長官(現政務長官)は「過去三年間で香港に三万六千件の雇用、五十億香港ドル(約七百九十億円)以上の投資をもたらした」とコメント。CEPAの経済効果を強調した。 これらのデータを詳細に検討してみよう。まずは雇用。香港政府が立法会(議会)に提出したリポートによれば、創出された雇用の七割超に当たる二万六千件は、貿易自由化措置ではなく、中国本土から香港への個人旅行解禁措置によるものだ。 個人旅行はCEPA本協定に基づき〇四年七月に解禁となった。対象地域は当初の広東省四都市から、全国四十九都市に順次広げられた。香港を訪れる中国人観光客が激増し、小売業を活気づけ、雇用が拡大した。ただ、段階的な解禁政策は、〇四年以降に四度結ばれた拡充協定に盛り込まれているわけではなく、CEPAの成果とするには若干無理がある。

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