混迷の空港(中)航空「低コスト競争」からの脱落

執筆者:吉野源太郎 2007年8月号
エリア: 日本

――二十年の時を無駄にした無為の航空行政―― 六月末、ブリュッセルから伝えられたニュースが航空関係者の間でちょっとした話題となった。 欧州の低コスト航空(LCC)最大手、アイルランドのライアンエアーが提案していた旧アイルランド国営航空エアリンガスの買収が、欧州連合(EU)の欧州委員会によって「消費者利益を損なう」として認められなかったというニュースだ。ライアンは欧州司法裁判所に提訴するというが、もし実現すればLCCによる初めてのナショナルフラッグ買収事例になるところだった。 同じ頃、東京・霞が関では国土交通省航空局の人事が取りざたされていた。日本航空(JAL)の経営危機に備え、密かに設置された対策チームの主要メンバーと言われた四人の幹部が、今夏の人事異動で一斉に交代することになったからだ。「全員、二年の任期あけ。それにそんな組織はもともと存在しない」と同省は言うが、憶測は関係者の間を駆けめぐっている。 同じ旧国営航空を巡る話題とはいえ、一方はM&A(合併・買収)劇。片や密室の調整。落差は激しい。世界の航空の流れはもはや日本の手の届かぬところに行ってしまった。なぜこんなことになったのか――。

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執筆者プロフィール
吉野源太郎 ジャーナリスト、日本経済研究センター客員研究員。1943年生れ。東京大学文学部卒。67年日本経済新聞社入社。日経ビジネス副編集長、日経流通新聞編集長、編集局次長などを経て95年より論説委員。2006年3月より現職。デフレ経済の到来や道路公団改革の不充分さなどを的確に予言・指摘してきた。『西武事件』(日本経済新聞社)など著書多数。
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