バックリーが貫く「アメリカの個人主義」の理念

執筆者:会田弘継 2006年6月号
エリア: 北米

 大型連休の始まりに、ジョン・ケネス・ガルブレイスの訃報に接した。享年九十七。ハーバード大名誉教授、リベラル(進歩派)経済学者の泰斗だった。日本語になった著作も多く、新聞は一面でその死を報じた。 そのガルブレイスの親友の一人が、保守論壇の重鎮ウィリアム・F・バックリー・ジュニア(八〇)だったことは、日本ではあまり知られていない。片や、教え子ケネディ大統領をはじめ歴代民主党政権のアドバイザー、もう一方はニクソン、レーガン両共和党大統領の友人にして指南役。バックリーは、ガルブレイス流のケインズ派経済学こそ、アメリカの自由主義の敵だと断罪してきた。日本なら「犬猿の仲」だろう。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
会田弘継(あいだひろつぐ) 関西大学客員教授、ジャーナリスト。1951年生まれ。東京外語大英米語科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを務め、現在は共同通信客員論税委員、関西大学客員教授。近著に『世界の知性が語る「特別な日本』』 (新潮新書)『破綻するアメリカ』(岩波現代全書)、『トランプ現象とアメリカ保守思想』(左右社)、『増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち』(中公文庫)など。訳書にフランシス・フクヤマ著『政治の衰退』(講談社)など。
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