「民泊」解禁の論点整理(下)「旅館業法」は新しい法律に作り直せ

執筆者:原英史 2016年4月1日
タグ: 日本
エリア: アジア

≪記事前半はこちら≫

 次に、規制改革の動きについてみていきたい。
 安倍総理が民泊推進の方向を示しているので、何か統一的な方針に沿って政府全体が動いていると思われるかもしれないが、現状は少なくとも、そうは言えない。むしろ、関係省庁・関係会議がまだバラバラに動いているに近い状態だ。とりあえず現状を切り取ってみると、以下のとおりだ。

3、規制改革の動きの状況

 

 まず、厚生労働省と観光庁で共同開催している「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」は、昨年11月にスタート。3月までの間に7回の会議を開催して「中間整理」を公表した。ここでは、
・当面の措置として、旅館業法の簡易宿所の延床面積基準の緩和(「33㎡以上」→「収容人数×3.3㎡以上なら33㎡未満も可に」)
・さらに中長期的に、一定要件を満たす民泊サービスについて規制緩和を検討(例えば、家主居住で自宅一部を貸し出す「ホームステイ型」などが対象)
 との方向が打ち出されている。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
原英史(はらえいじ) 1966(昭和41)年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める。著書に『岩盤規制―誰が成長を阻むのか―』、『国家の怠慢』(新潮新書)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top