朝鮮労働党大会「設計図なき戴冠式」(2)
「並進路線」推進と「党委員長」就任

平井久志
執筆者:平井久志 2016年5月18日
エリア: 朝鮮半島

 金正恩氏の総括報告でもう1つ注目されたのは経済路線であった。金正恩時代の経済状況は低率ながらもプラス成長を続けてきたとみられている。農業における分組の小規模化、圃田担当責任制、企業の独立採算制を強めた「社会主義企業責任管理制」など市場経済的な要素を導入し、労働者の生産意欲を刺激する方法が取られてきた。このため、総括報告で、金正恩氏がこれまで進めてきた「社会主義経済管理方法の改善」という枠内での経済改革をまとめるような方向性が示されるのではないかという期待があった。しかし、報告では既存の動員型の経済体制が強調され、改革的な方向性も部分的に示され、結果的には中途半端な内容となった。 
 金正恩氏は「わが国は政治・軍事強国の地位に堂々と上り詰めたが、経済部門はまだ相応の高みに達することができずにいる」と政治、軍事両部門に対して経済発展が立ち遅れていることを認めた上で「経済強国」建設を訴えた。金正恩氏は「ある部門は嘆かわしいほど遅れている」と実情を認めた。

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執筆者プロフィール
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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