金正恩氏の総括報告でもう1つ注目されたのは経済路線であった。金正恩時代の経済状況は低率ながらもプラス成長を続けてきたとみられている。農業における分組の小規模化、圃田担当責任制、企業の独立採算制を強めた「社会主義企業責任管理制」など市場経済的な要素を導入し、労働者の生産意欲を刺激する方法が取られてきた。このため、総括報告で、金正恩氏がこれまで進めてきた「社会主義経済管理方法の改善」という枠内での経済改革をまとめるような方向性が示されるのではないかという期待があった。しかし、報告では既存の動員型の経済体制が強調され、改革的な方向性も部分的に示され、結果的には中途半端な内容となった。
金正恩氏は「わが国は政治・軍事強国の地位に堂々と上り詰めたが、経済部門はまだ相応の高みに達することができずにいる」と政治、軍事両部門に対して経済発展が立ち遅れていることを認めた上で「経済強国」建設を訴えた。金正恩氏は「ある部門は嘆かわしいほど遅れている」と実情を認めた。
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