背反する「産業多角化」と企業の「脱アフリカ」

平野克己
アフリカでも最大規模の都市であるナイジェリアの旧首都ラゴスでさえ、電力消費量は世界で最も少ない(C)AFP=時事

 

 アフリカ経済がどんどん悪くなっている。今年、南アフリカはおそらくゼロ成長で、ナイジェリアとアンゴラはマイナス成長であったろう。いずれ国連が公表するであろうドル価GDP(国内総生産)では、まちがいなくそうだ。モザンビークやガーナは前世紀末のように、再び「構造調整」下に置かれることになるかもしれない。構造調整とは、外債を返せなくなった国が、債務を繰り延べしてもらう代わりに、世界銀行とIMF(国際通貨基金)の政策管理を受けることをいう。モザンビークやガーナの金の借り方はメチャクチャだった。

 アフリカにはついこのあいだまで資源開発投資が入りこみ、そうやって採掘された原油や鉱産物を輸出することで、さらにはそれら資源の価格が上昇することで、アフリカのGDPは拡大してきた。だから、そういった動きが止まったいま、経済成長が止まるのは当然だといえる。

 アフリカに限らずあちこちの産油国や資源輸出国が、いまや口を揃えて資源依存からの脱却、産業多角化を謳っているが、「なにをいまさら」という感を禁じえない。10年続いた資源高成長のあいだ、世界中の専門家がそう進言してきたではないか。私が担当している中東、アフリカ、中央アジアにはそういう国がひしめいている。

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執筆者プロフィール
平野克己 1956年生れ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済研究科修了。スーダンで地域研究を開始し、外務省専門調査員(在ジンバブエ大使館)、笹川平和財団プログラムオフィサーを経てアジア経済研究所に入所。在ヨハネスブルク海外調査員(ウィットウォータースランド大学客員研究員)、JETRO(日本貿易振興機構)ヨハネスブルクセンター所長、地域研究センター長などを経て、2015年から理事。『経済大陸アフリカ:資源、食糧問題から開発政策まで』 (中公新書)のほか、『アフリカ問題――開発と援助の世界史』(日本評論社)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社)など著書多数。2011年、同志社大学より博士号(グローバル社会研究)。
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