「動脈に詰まったプラスチック」で心臓病や死亡リスクが上昇

2024年3月17日
カテゴリ: 医療・サイエンス
(C)REUTERS/Gustavo Graf
動脈に蓄積した脂肪の中に詰まった微小なプラスチック片が、心臓病や脳卒中、そして死亡リスクの増加と関連している可能性があると、新たな研究で明らかになった。首の頸動脈から、血管の詰まりの原因となるプラークを除去する手術を受けた304人の患者のうち、58%がプラークに微小なプラスチック片を含んでいたことが発見された。

[ロイター]患者個々のリスク要因を考慮した後でも、頸動脈のプラークからプラスチック片が見つかった患者は、3年間以内に心臓発作や脳卒中を経験したり死亡したりするリスクが4.5倍高かった。また、プラークの組織中からマイクロプラスチックやナノプラスチックが見つかった患者は、アテローム性動脈硬化や心不全に関与することが知られている炎症性タンパク質の血中濃度が高かった。プラスチックの種類はポリエチレンや、塩素を含むポリ塩化ビニルが含まれ、破片の縁はギザギザしていた。

 論文は3月6日、学術誌『The New England Journal of Medicine』に発表された。ナポリのカンパニア大学教授ラファエル・マルフェラ氏が率いるイタリアの研究チームは「ポリエチレンやポリ塩化ビニルといったプラスチックは、さまざまな形態で食品や化粧品容器、水道管など多種多様な用途で使われている」と論文で述べた。また、こうしたプラスチックが微小化したマイクロプラスチックは、飲料水や食品、化粧品製品、さらには空気の中から見つかっていると指摘した。……

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