震災と原発事故への対応にあけくれた1年であった。2011年は日本にとって、大きな転機となった年として記憶されるであろう。ただし、巨大な不幸にもかかわらず、そこから少しでも前に進もうとする始まりの1年であったのか、それとも災害の重みに耐えかねて、下り坂を転げ落ちる決定的な1年であったかは、まだわからない。前者であって欲しいと思ってこの1年を過ごしたが、後者ではないかという思いも脳裏をよぎる。
そこで何よりも問われたのは、「政治」であろう。政治とはいったい何なのか、何の役に立つものなのか。限られた人的・物的資源や財政制約のなかで、それでも国民のもてる力や思いを災害復興のために結集しなければならない。そのためのリーダーシップをとるのが政治の役割であろうと誰もが期待した。そしてその期待はいまや虚しいものになりつつある。いわゆる「政治」とは、どこか国民の実情とずれたところで展開されるものではなかろうか。そのような疑念が蔓延しつつある。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン