私はなぜ特定秘密保護法案に反対するのか

執筆者:宇野重規 2013年12月5日
タグ: アメリカ 日本
エリア: アジア
 政府は強引に成立を目論んでいるが……  (答弁する森雅子担当相) (C)時事
政府は強引に成立を目論んでいるが……  (答弁する森雅子担当相) (C)時事

 私はこのたび、「特定秘密保護法案に反対する学者の会」の賛同人に加わりました。フォーサイト編集部から機会をあたえていただきましたので、ここでなぜ私がこの法案に反対するのか、少しお話しさせていただければと思います。

 

 私は政治学者です。1人の市民として、現代日本社会の諸問題について意見をもっていますが、今回はとくに政治学者として、この法案には大きな問題があると考え、あえて行動することにしました。

 政治学者としてこだわるのはまず、「政治における真実はどのようにして明らかにされるべきか」ということです。なるほど、政治において、「秘密」がつねにつきまとうのは確かです。とくに国家の安全保障に関して、少なくとも同時代的には公開できない事実があることは、私も認めます。重要な機密が諸外国に筒抜けになれば、交渉などにおいて重大な不利をもたらすでしょう。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
宇野重規(うのしげき) 1967年生れ。1996年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。東京大学社会科学研究所教授。専攻は政治思想史、政治哲学。著書に『政治哲学へ―現代フランスとの対話』(東京大学出版会、渋沢・クローデル賞ルイ・ヴィトン特別賞)、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社、サントリー学芸賞)、『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書)、共編著に『希望学[1]』『希望学[4]』(ともに東京大学出版会)などがある。
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