アフリカにネオリベラリズムが入ってきたのはいつか。通常は1980年代に始まった世界銀行・IMFによる構造調整融資といわれる。構造調整は、1997年のアジア通貨危機ですっかり評判を落とし政策としては既に消滅したが、その開発論と援助論はサブサハラ・アフリカを想定して作られ精緻化されていったものである。構造調整が消滅して以後、これに代わる開発論や援助論は登場していない。現在は開発論不在の時代といってよい。
その魁は、1981年に世銀が出した『サブサハラ・アフリカの開発促進』、通称バーグ報告と呼ばれる文書である。このころのアフリカ諸国は石油危機によってマクロ経済バランスが崩壊寸前に追い込まれ、借金が返せなくなっていた。バーグ報告は、債務救済を行う条件として経済改革の思想を述べたものだった。そこに書かれてあるのは、しかし、ネオリベラリズムというよりごく普通の経済学の論理である。
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