シンガポールに関連した最近の出来事を見ていると、安倍晋三政権が提唱する「アジアの民主主義セキュリティー・ダイヤモンド」構想の脆弱性を強く感じる。思いつき、とまではいわない。だが「価値観外交」とはいうものの、その実質的基盤をどこに置くのか。はたして日本は、どのような形で「セキュリティー・ダイヤモンド」を構築し、維持し、具体的に対中外交に結び付けようと企図しているのか――ことばのみが耀き、先走り、その具体像が一向に浮かんでこない。
いま中国の怒濤のような《熱帯への進軍》が曖昧模糊とした安倍アジア外交の間隙を縫って、東南アジアを突き動かしている。
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