さて、これまでに離婚によりどれだけの金が動くのかは、慰謝料、財産分与、婚姻費用のみっつの要素から計算できることが理解できただろう。こうした結婚の金銭の授受の権利義務関係を見ると、結婚というのは、同じく将来の金銭の授受の権利義務関係を契約する、ある種の金融商品の取引であると考えられる。そして、この金融商品は、毎月分配型の特殊な債券なのである。結婚というのは、潜在的には、こうした金融商品の売買契約なのだ。
最初の中国人の青年の話に戻ろう。彼の奥さんにしてみれば、形式的にでも結婚している限り、毎月37万円の婚姻費用を受け取ることができる。そして、離婚成立時に、慰謝料と財産分与が受け取れる。

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