中国政府は来年にも郵政事業から金融部門を切り離し、「郵政貯蓄銀行」を作る。だが、これは日本のように「官から民へ」の流れが背景にあるわけではない。 中国の郵貯制度は二〇〇三年まで、郵便局が貯金を集め、そのまま中国人民銀行(中央銀行)に預ければ市場より高い利子がついて利ざやを稼げる仕組みだった。郵便局はその利益で郵便事業の損を埋め、全体として帳尻を合わせていた。現在は新たに集めた分の貯金は自主運用にまわされるが、二〇〇三年以前の貯金は大部分が変わらず人民銀行に預けられている。 本来、金融部門の分離は人民銀行の負担を減らし、郵便の経営努力を促すのが狙い。この構想自体は前からあり、人民銀行は一九九七年の中央経済工作会議に原案を出していた。その二年後には国務院(政府)が同意したとされるが、結局はお蔵入りになっていた。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン