全日本空輸が欧州エアバス社の超大型旅客機A380導入に向けて本格検討に入った。稼ぎ頭の欧米線の需要増に応じるとともに、五月に成田に同機を就航させたシンガポール航空が、総二階建てでジャンボ機の一・五倍の広さを生かした豪華サービスを展開するのに業を煮やしてのことだ。実現すれば国内初の導入となる。 しかし先を越される形の日本航空幹部は「わが社は導入しない」と断言。理由は「座席が埋まらないから」。シンガポール航空の成田―シンガポール線はファースト、ビジネスは堅調な一方で、エコノミークラス約四百席を埋めるのに四苦八苦。往復三万円まで運賃を下げて、なんとか搭乗率七〇%前後を維持しているのが実情だという。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン