不評の海外農地買収に「今がチャンス」論まで

執筆者: 2009年3月号
エリア: アジア

 河南省を中心に「五十年に一度」と言われる旱魃に見舞われ、小麦の収穫に大きなダメージを受けた中国で、海外での農地経営に対する関心が強まっている。 もともと中国は、七億―八億人の農業人口を抱え、日本をはじめ海外に多くの農産品を輸出する農業大国だ。だが、所得の伸びに合わせて国民の食生活が急速に豊かになり、穀物や肉類の需要も急増していることに加え、昨今の乱開発による農地の減少で、食料の需給バランスは崩れつつある。一昨年暮れから昨年夏まで続いたインフレの主役は食料品だった。中国政府は疫病による豚の減産や国際市場での穀物価格の高騰が原因と説明したが、同時に穀物の海外輸出を厳しく制限する措置も採っており、「需給がタイトなのは間違いない」(中国の米穀卸商)と言われている。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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