浮上した「公務員庁」構想について

執筆者:原英史 2010年12月8日
カテゴリ: 政治
エリア: アジア

 

 報道によれば、政府(国家公務員制度改革推進本部事務局)は12月7日、民主党の公務員制度改革・総人件費改革PTに、労働基本権拡大の素案を提示。給与など労働条件を労使で決める協約締結権を付与し、人事院勧告制度を廃止するとともに、政府内に労使交渉にあたる「公務員庁」を設置することが柱という。
 
 「公務員庁」という議論は、一般には耳慣れないかもしれないが、福田康夫内閣で国家公務員制度改革基本法を制定した頃からあって、要するに、
・人事関連の機能を、(いまだ設置されていない)「内閣人事局」にすべて一元化するのか、
・いわゆる“人事部”(=「内閣人事局」)と“労務部”(=「公務員庁」)に分けるのか、
という議論だ。
 これは、どちらが明らかに正しいといった話ではなく、具体的な業務量も精査しながら、よく議論したらよいと思う。
 
 ただ、その際、この種の組織論では、放っておくと(とりわけ役所主導で進めた場合)、組織の数(あるいは○○長など幹部ポストの数)の維持ないし拡大につながりがちであることは、留意しておいた方がよい。
 
 今回の、「内閣人事局」・「公務員庁」併設プランは、設計次第では、
・「内閣人事局」=現在の総務省人事・恩給局の人事部門
・「公務員庁」=現在の人事院
といった、単なる“看板の掛け替え”になる可能性がある。
 
 さらに、労使間トラブルの処理のための「第三者機関」も別途独立させるといったことになれば、“焼け太り”のおそれもある。
 
 こうしたことを招かないため、組織論先行ではなく、まず、どういう業務が必要なのかを洗い出し、十分に議論すべきだろう。
 
(原 英史)
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執筆者プロフィール
原英史 1966(昭和41)年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める。著書に『岩盤規制―誰が成長を阻むのか―』、『官僚のレトリック』など。
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