通常、外務大臣には二人の大臣秘書官が付く。一人は課長級のシニア秘書官、もう一人は課長補佐クラスのジュニア秘書官である。田中眞紀子外務大臣は就任二日目に、河野洋平前外相から引き継いだジュニア秘書官の大鶴哲也秘書官(平成三年入省)の交代を官房当局に指示し、急遽、熊谷直樹氏(平成四年)が後任秘書官に据えられた。 シニア秘書官は、平松賢司秘書官(昭和五十三年)がアジア大洋州局北東アジア課長に転出、上村司中東アフリカ局中東第一課長(五十六年)が就任したが、上村氏は記者の面前で田中外相に罵倒されるなど、ストレスが原因と見られる過労からダウン、五月十日、入院してしまった。このため外務省は、これ以上の過労入院者を出さないためとして、異例の秘書官五人体制を敷いた。

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