期待が大きかっただけに、不良債権の抜本処理に踏み出さない小泉政権への失望はより大きい。米国にとっての「対中牽制カード」にすらならなくなったら、ワシントンの視界から「日本経済」は消え果てる。[ワシントン発]一月下旬。二月八、九の両日にカナダのオタワで開かれることが決まっていた主要先進七カ国(G7)蔵相・中央銀行総裁会議の打ち合わせのため、各国の財務省、中央銀行の国際担当幹部が顔をそろえた席でのこと。「なぜ、ダイエーを救済したのか?」 日本側出席者は米側出席者からこう聞かれたという。政府と銀行が一体となってダイエーの救済を決めたのは一月十八日。この直後に、米国ではダイエーに良く似た存在であるKマートが連邦破産法を申請し、倒産している。経営が行き詰まった企業が潰れるのは市場原理から見て当然とする米国にとって、「ダイエー救済」は昔の護送船団行政への先祖返りに映ったのだ。
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